梅雨の時期は、社用車や業務用車両を使用する企業にとって、交通事故リスクが高まりやすい季節です。

「雨の日は少し運転しにくい」
そう感じていても、実際には多くのドライバーが晴れの日と同じ感覚で運転してしまいがちです。

しかし、雨の日の道路は、視界が悪くなり、路面が滑りやすくなり、歩行者や自転車の動きも見えにくくなります。JAFでは、雨天時にもっとも多い事故はスリップによる事故であり、首都高速道路の調査では、雨天時の時間あたりの死傷事故件数が晴天時と比べて約4倍、施設接触事故件数が約7倍になると紹介されています。

つまり梅雨の運転で一番危ないのは、雨そのものではありません。
「いつも通りで大丈夫」という思い込みです。

雨の日は「見えない・止まれない・気づかれない」

梅雨時期の運転で特に注意したいのは、次の3つです。

1つ目は、視界不良です。
フロントガラスに雨粒がつく、サイドミラーが見えにくくなる、窓ガラスが曇る。こうした状態では、歩行者、自転車、バイク、前方車両の動きに気づくのが遅れます。

2つ目は、制動距離の増加です。
雨で濡れた路面は滑りやすく、晴天時と同じタイミングでブレーキを踏んでも、思ったように止まれないことがあります。特に急ブレーキ、急ハンドル、急加速はスリップにつながる危険があります。

3つ目は、自車の存在に気づかれにくいことです。
雨の日は昼間でも薄暗く、歩行者や対向車から車が見えにくくなります。ライトは「自分が見るため」だけでなく、「相手に見つけてもらうため」に点灯することが重要です。雨の日は昼間でもライト点灯を意識することが安全運転につながります。

梅雨前に確認すべき車両点検

雨の日の事故防止は、運転中の注意だけでは不十分です。
運転前の車両点検が、事故を防ぐ第一歩になります。

特に確認したいのが、ワイパー、タイヤ、ライト、ガラスの状態です。

ワイパーのゴムが劣化していると、雨をきれいに拭き取れず、視界が悪くなります。拭きムラ、スジ、異音がある場合は、早めの交換が必要です。

また、タイヤの状態確認も欠かせません。タイヤの溝が浅くなると、雨天時に水を排出する力が低下し、スリップやハイドロプレーニング現象のリスクが高まります。JAFの交通安全トレーニングコラムでも、タイヤの溝の使用限度は1.6mmであり、空気圧が低すぎる場合もハイドロプレーニング現象の原因になり得るとされています。

社用車を複数台管理している企業では、「各ドライバーに任せる」のではなく、管理者が点検項目を決め、定期的に確認できる仕組みをつくることが重要です。

雨の日は速度を落とし、車間距離を広げる

梅雨時期の運転では、晴れの日よりも意識的に速度を落とす必要があります。

特に注意すべき場所は、カーブ、交差点、横断歩道付近、橋の上、マンホール、白線の上、水たまりのある道路です。これらの場所では、タイヤが滑りやすく、車両の挙動が不安定になりやすくなります。

また、前方車両との車間距離も普段より広く取ることが大切です。
雨の日はブレーキを踏んでから止まるまでの距離が伸びやすいため、車間距離が短いと追突事故につながります。

「急いでいるから」「いつもの道だから」「慣れているから」
この感覚が、梅雨時期の事故を引き寄せます。

業務中の運転では、時間に追われる場面もあります。しかし、安全を削って到着時間を守ろうとする運転は、企業にとって大きなリスクです。事故が起きれば、車両修理費、保険対応、業務停止、信用低下、従業員や相手方への影響が発生します。

歩行者・自転車への配慮を強める

雨の日は、歩行者や自転車側も周囲を確認しにくくなります。

傘で視界が遮られる。
雨音で車の接近に気づきにくい。
足元を見ながら歩く。
水たまりを避けて急に進路を変える。

このような行動が増えるため、ドライバーは晴れの日以上に「相手が気づいていないかもしれない」と考える必要があります。

特に横断歩道、学校付近、駅周辺、住宅街、コンビニ出入口、駐車場では、歩行者や自転車の飛び出しに注意が必要です。

また、水たまりを走行して歩行者へ泥水をはねる行為にも注意が必要です。道路交通法では、ぬかるみや水たまりを通行するとき、泥土や汚水を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすることが求められています。企業の車両でこうした行為があれば、会社の印象にも関わります。

企業が取り組むべき梅雨の安全運転対策

梅雨の安全運転対策は、ドライバー個人の注意喚起だけで終わらせてはいけません。
企業として、事故を起こさせない仕組みを整えることが大切です。

まず、梅雨入り前に社用車の点検を実施します。
タイヤの溝、空気圧、ワイパー、ライト、ガラスの曇り止め、ウォッシャー液を確認します。

次に、雨天時の運転ルールを社内で共有します。
「速度を落とす」「車間距離を広げる」「早めにライトを点灯する」「急ブレーキ・急ハンドルを避ける」「冠水路には無理に進入しない」など、具体的な行動に落とし込むことが重要です。

さらに、管理者はドライバーに対して、雨の日の運転を特別な運転環境として伝える必要があります。
「気をつけて運転してください」だけでは不十分です。何に気をつけるのか、どの行動を変えるのかまで伝えることで、事故防止につながります。

雨の日の安全運転は、会社の安全文化を映す

梅雨の運転では、いつも通りの運転が危険になります。

見えにくい。
止まりにくい。
気づかれにくい。
歩行者や自転車の動きが読みにくい。

この条件が重なるからこそ、企業はドライバー任せにせず、管理者が率先して安全運転の取り組みを進める必要があります。

イシュー・マネジメント株式会社では、社用車・業務用車両を使用する企業さまに向けて、安全運転管理、車両機器の取付、安全運転講習などを通じた事故防止の支援を行っています。

梅雨の時期は、事故が起きてから対応するのではなく、事故が起きる前に備えることが大切です。

「いつも通り」ではなく、「雨の日用の運転」に切り替える。
その意識と仕組みづくりが、企業の交通事故防止につながります。