12月(師走)は、1年でも特に交通事故が多発する月です。公益社団法人交通事故分析センター(ITARDA)のデータから見ても、2022~2024年の月別交通事故件数では 12月が単月で最も多い という傾向が一貫しています。
さらに、12月の事故件数は1月~11月の平均と比べて 約1.2倍に増加。年末の運転には特別な注意が必要です。

なぜ12月に事故が増えるのか?主な5つの要因

  1. 夜が長く視界が悪くなる
     12月は冬至をはさみ、日の入りが早く、夜の時間が最も長くなります。暗い時間帯が増えることで、歩行者や自転車を認識しづらくなり、事故リスクが高まります。
  2. 薄暮(マジックアワー)の影響
     夕方〜夜にかけて、明るさが急に落ちる「薄暮」の時間帯が退勤ラッシュなどと重なりやすいのも特徴です。人間の目は明るい場所から暗い場所への順応に時間がかかるため、見落としや判断ミスが起こりやすくなります。
  3. 路面凍結・冬特有の道路環境
     12月になると放射冷却などの影響で、夜間〜朝にかけて路面が凍結しやすくなります。降雪がなくても、寒さによって滑りやすい路面になる可能性があるため、注意が必要です。
     また、スタッドレスタイヤやチェーン、ブレーキ・ワイパーの点検など、冬装備を整えておくことが事故防止には不可欠です。
  4. 帰省ラッシュ・物流の増加
     年末は帰省や買い出し、企業の繁忙期などで車の流れが活発になります。特に慣れていないドライバー(いわゆる「サンデードライバー」)や大型トラックが多くなり、混雑や事故リスクを高めています。
     また、急ぎの配達やスケジュール調整による時間的プレッシャーがドライバーの焦りを生み、無理な運転がおこりやすい状況になります。
  5. 年末ならではの人的・社会的要因
     忘年会シーズンで飲酒の機会が増える、疲労が溜まりやすい、気忙しさやストレスが運転注意力を下げるなど、「人」の面からのリスクも大きくなります。
     このように、12月は環境・人・社会の三つの視点からリスクが重なり合っているのです。

企業やドライバーができる具体的な対策

ドライバー(個人)としての心がけ

  • 早めのライト点灯で暗さへの備えをする。
  • スタッドレスタイヤ装着、ワイパー・ブレーキの冬季点検など、冬の準備を怠らない。
  • 運転に慣れていない道や夜間は慎重に、余裕をもったスピードと車間距離を心がける。

企業・管理者としての対策

  • 朝礼などを活用して12月の交通リスクを社員に定期的に伝える。
  • ドライバー教育のために 安全運転講習の開催や運転教育のe-ラーニングを導入して継続的に安全意識を育てる。
  • 管理者は、個々のドライバーに合わせた指導を行う。

まとめ:12月の運転には「いつも以上の注意」を

12月は気象・交通量・人の心理など、さまざまな要因が重なって交通事故が起きやすい危険な時期です。事故統計でも12月は突出して件数が多くなっており、特別な注意が求められます。
個人ドライバーとしては、冬装備の準備と視界対策、余裕ある運転が重要です。企業としては、教育の機会を設けて組織全体で交通安全を強化することが肝心です。

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年末を安全に、そして新年を穏やかに迎えるために、今から備えておきましょう。