― 道路交通法対応と2026年以降も通用する運行管理の具体策 ―

企業活動において社用車・事業用車両は欠かせない存在です。しかしその裏側で見落とされがちなのが「過労運転リスク」です。過労を原因とした事故は、単なる交通事故では終わらず、企業の管理責任が厳しく問われます。ここでは道路交通法を根拠に、法的基準・罰則・企業リスク、そして具体対策を解説します。
1. 過労運転とは何か(道路交通法の定義)
道路交通法第66条では、次のように規定されています。
「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」
つまり過労運転は、居眠り運転を起こした後ではなく、「正常運転が困難になるおそれの段階で違反」となります。
判断要素は明確な時間基準だけでなく、
- 睡眠不足
- 長時間連続運転
- 深夜・早朝勤務
- 体調不良
- 業務過多による疲労蓄積
など総合的に判断されます。
※具体的な「何時間で違反」という全国一律基準は道路交通法上明示されていません。
2. 法的責任はドライバーだけではない
過労運転が発生した場合、責任は運転者個人に留まりません。
運転者責任
- 道路交通法違反
- 事故時は過失割合増大
- 刑事責任(自動車運転過失致死傷罪 等)
使用者・管理者責任
道路交通法第75条(安全運転管理義務)等に基づき、
- 過重労働を認識しながら運転させた
- 休憩・睡眠管理を怠った
- 点呼・健康確認を実施していない
場合、企業側の安全運転管理義務違反が問われます。
3. 罰則内容
過労運転そのものに対しては、
- 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
(道路交通法第117条の2)
が科される可能性があります。
さらに事故を起こした場合は、
- 自動車運転過失致死傷罪
- 業務上過失致死傷
- 民事損害賠償(数千万円〜億単位)
へ発展することもあります。
4. 企業が負うデメリット
過労運転事故の本質的な損失は罰金ではありません。
主な経営リスク
- 高額損害賠償
- 保険料大幅上昇
- 行政処分・監査強化
- 取引停止・入札除外
- 採用難・離職増加
- 企業ブランド毀損
特に近年は「労務管理×安全管理」を一体で見られるため、
過労運転=コンプライアンス違反として評価されます。
5. 過労運転を防ぐ具体策
重要なのは注意喚起ではなく仕組み化です。
① 運転前点呼の高度化
- 体調・睡眠時間確認
- アルコールチェック
- 表情・反応確認
② 運行スケジュール管理
- 長距離日帰り運行の見直し
- 深夜連続運転の回避
- 余裕ある配送計画
③ 休憩・仮眠ルール
- 2時間ごとの休憩目安
- 仮眠推奨基準設定
※これは行政通達・ガイドライン等で示される考え方であり、道路交通法の直接条文ではありません。
④ ICT機器活用
- AIドライブレコーダー
- 運転時間記録
- 居眠り検知
- 点呼システム
⑤ 安全教育
- 疲労と事故相関の理解
- ヒヤリハット共有
- 管理者研修
6. 2026年以降も通用する運行管理体制
今後は法改正の有無に関わらず、監査・社会的要求は確実に強化されます。普遍的に求められるのは次の3点です。
- 可視化:運転時間・健康状態を記録
- 抑止力:無理な運行をさせない承認制
- 証跡管理:点呼・指示・休憩記録の保存
つまり、
「事故を防いだか」ではなく
「防ぐ体制を構築していたか」
が問われる時代です。
まとめ
過労運転はドライバーの問題ではなく、企業の管理体制そのものが問われる経営リスクです。道路交通法第66条は「正常運転が困難なおそれ」の段階で運転を禁じています。
罰則・損害賠償・社会的信用失墜を防ぐためには、
- 点呼
- 労務管理
- 運行計画
- ICT活用
- 教育
を組み合わせた仕組み化された運行管理が不可欠です。
過労運転を起こさない会社ではなく、
過労運転を「させない会社だけ」がこれから生き残ります。
トラック運転手はプロだからあたりまえや、白ナンバーの社用車はただの移動手段だから大丈夫!!ではありません。車を運転されているすべての企業が対象です。道路交通法は運転するすべてのドライバーが対象となります。
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