一般的な行政上の区分に基づき、65歳以上を高齢者として扱います。
一方で、運転免許制度では70歳以上が高齢者講習の対象、75歳以上は認知機能検査等の対象です。仕事でも生活でも運転が欠かせない方にとって大切なのは、「まだ運転できるか」ではなく、安全に運転を続けられる状態かを見直すことです。

高齢者とは何歳からを指すのか
「高齢者」という言葉は場面によって使い方が異なります。一般的には、厚生労働省系の解説でも65歳以上が高齢者とされています。日本では65歳から74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と分ける考え方も広く用いられています。
ただし、運転に関する制度は別です。警察庁の資料では、70歳以上は運転免許更新時に高齢者講習、75歳以上は認知機能検査、さらに一定の違反歴がある場合は運転技能検査の対象となります。この記事では、一般的な高齢者の定義として65歳以上を前提にしつつ、運転制度上の節目として70歳以上、75歳以上も意識して考えていきましょう。
高齢者の運転で本当に注意すべきこと
年齢を重ねると、視力、判断力、反応速度、疲れやすさなどに少しずつ変化が出ます。問題なのは年齢そのものではなく、自分では気づきにくい変化が運転に影響することです。だからこそ、「長年運転してきたから大丈夫」ではなく、いまの自分に合った運転をすることが重要です。
特に注意したいのは、右左折時の確認不足、歩行者や自転車の見落とし、車庫入れや幅寄せの感覚のずれ、焦ったときの操作ミスです。こうした変化は突然起きるのではなく、少しずつ表れます。事故を減らす第一歩は、小さな違和感を軽く見ないことです。
事故を防ぐために必要な「確認」
まず必要なのは、日々の確認です。標識が見えにくくなっていないか。右左折時に歩行者や自転車の発見が遅れていないか。以前より運転後の疲れが強くなっていないか。こうした変化を自分で認めることが、安全運転の出発点です。
また、家族や会社の管理者が「最近ヒヤッとする場面が増えた」「車体をこすることが増えた」と感じているなら、その声も大事です。本人だけでなく、周囲の気づきも事故防止には欠かせません。経験がある人ほど過信しやすいため、客観的に振り返る習慣が必要です。
事故を防ぐために必要な「準備」
次に大切なのは、運転前の準備です。体調が悪い日は無理に運転しない。夜間や雨天など見えにくい条件では、できるだけ運転を避ける。知らない場所に行くときは、事前にルートや駐車場所を確認する。急ぐ予定を組まない。こうした準備は地味ですが、事故防止には非常に効果的です。
高齢者の運転では、運転技術だけでなく、危険な条件を避けることが大きな意味を持ちます。余裕のない時間設定、渋滞しやすい時間帯、暗い道、悪天候は、判断の負担を増やします。安全運転は「上手に走ること」だけではなく、「危ない状況をつくらないこと」でも守られます。
事故を防ぐために必要な「判断」
最も重要なのは判断です。「今日は見えにくい」「疲れている」「集中できない」と感じたら、運転を控える。その判断ができる人ほど、事故を防げます。高齢者の事故対策は、無理を我慢で乗り切ることではありません。無理をしないこと自体が安全対策です。
運転を続けるためには、自信よりも冷静さが必要です。自分の状態を正しく見て、危険がある日はやめる。必要に応じて家族や会社に相談する。こうした判断ができることが、本当の意味での安全運転につながります。
仕事で運転する高齢者に会社が注意すべきこと
仕事で運転する場合は、さらに注意が必要です。運転は業務のついでではなく、安全に出発し、安全に到着するところまでが仕事です。事故が起きれば、本人だけでなく、同乗者、歩行者、取引先、会社全体に大きな影響が及びます。
国土交通省は、事業用自動車の安全対策として、高齢運転者に対する特別な指導や適性診断の受診を求めています。自動車運送事業者は、事故惹起運転者、初任運転者、高齢運転者に対し、国土交通大臣が認定する適性診断を受けさせなければならないと案内されています。
NASVAの適齢診断では、65歳以上の運転者を対象に、加齢による身体機能の変化が運転行動にどう影響するかを確認し、事故防止のための助言を行っています。受診時期も、65歳到達後1年以内、その後は一定間隔での受診が示されています。
そのため、会社は「ベテランだから大丈夫」で済ませてはいけません。面談、同乗確認、診断結果の確認、夜間運転の抑制、無理のない運行計画への見直しが必要です。高齢者本人も、経験に頼り切るのではなく、体調や感覚の変化を正直に伝えることが大切です。
高齢者が安全に運転を続けるために大切なこと
高齢者が運転を続けるために必要なのは、強がりではありません。確認すること、準備すること、そして無理をしない判断をすることです。65歳以上を高齢者と考える一般的な区分を踏まえつつ、70歳以上、75歳以上で制度上の節目があることも理解しておくべきです。
そして、仕事で運転するなら、本人だけでなく会社の管理も不可欠です。事故を減らすには、「運転できるか」ではなく、安全に続けられるかで考えることが重要です。今日の確認、今日の準備、今日の判断が、明日の事故を防ぎます。
高齢者が安全に働き続けるためにも、企業が事故を未然に防ぐためにも、まずは現状を知ることから始めるべきです。イシュー・マネジメント株式会社は、WEB運転適性検査を通じて、安全運転管理の見える化と事故防止を支援しています。