交通安全を守るために欠かせないのが、運転者の「健康状態の確認」です。企業において安全運転管理者は、単に運転技術や車両整備を管理するだけではなく、運転者が心身ともに安全に運転できる状態かを日々確認する責任を担っています。その取り組みこそが、交通事故ゼロ・飲酒運転ゼロを実現する第一歩となります。

特に注目されるのは飲酒運転防止です。2022年4月から白ナンバー事業者にもアルコールチェックが義務化され、さらに2024年12月からはアルコールチェッカーを用いた酒気帯び確認が義務化されました。これにより、運転者の健康状態と酒気帯びの有無を客観的に確認することが法的にも必須となったのです。飲酒後の「自覚のない酒気残り」が交通事故の大きな要因であるため、数値で確認できる仕組みが強く求められています。

健康状態の確認には、飲酒の有無だけでなく、睡眠不足や過労、持病、薬の服用状況なども含まれます。体調が不安定な状態でハンドルを握れば、判断力や注意力が低下し、事故リスクは一気に高まります。安全運転管理者は日々の点呼で表情や受け答えを観察し、必要に応じて運転を控えさせる判断を行わなければなりません。

また、運転者自身が「体調が悪いときは無理をしない」「飲酒後は必ず申告する」という意識を持つことも重要です。企業側は、定期的な健康診断やストレスチェック、さらには運転適性検査を導入することで、リスクを早期に把握できます。これらを組み合わせることで、健康状態の継続的な把握と改善につなげられます。

飲酒運転ゼロを実現するためには、「アルコールチェック」+「健康状態の確認」を日常業務に組み込むことが不可欠です。安全運転管理者が健康管理の徹底を推進することで、運転者自身の安全意識も高まり、組織全体に「飲酒運転は絶対にしない」という文化が根づきます。


健康確認のチェックリスト(実務で使える5項目)

  1. アルコールチェックの実施
    運転前後にアルコールチェッカーを使用し、酒気帯びがないかを数値で確認する。
  2. 睡眠状況の確認
    前日の睡眠時間や疲労感をヒアリングし、極端な睡眠不足の場合は運転を控えさせる。
  3. 体調の申告と観察
    頭痛・めまい・風邪症状などを申告させ、点呼時に表情や声の調子を観察する。
  4. 服薬・持病の確認
    眠気を誘発する薬の服用や持病が運転に影響しないかを事前に把握する。
  5. メンタル・ストレス状況の把握
    強いストレスや心理的不調が集中力に影響するため、定期的な面談やチェックを行う。

運転者の健康状態を常に確認することは、単なる義務対応ではなく、事故防止と企業の信頼を守るための重要な取り組みです。アルコールチェッカーの活用を軸に、健康チェックリストを運用することで、飲酒運転ゼロと交通事故ゼロに向けた確かな体制を築くことができます。